ちょうちん屋に嫁ぐと同時に、ちょうちんをつくりはじめた幅早苗は、もはや幅商店にはなくてはならない存在だ。女性だからこその器用さや手際良さがちょうちんづくりを支えている。
嫁入りした当時、日本のちょうちん産業は海外への輸出向け商品の生産に追われていた。「ジャパニーズカルチャー」を愛でる外国人向けに手張りのランプシェードをつくっていたのだ。とにかく、見よう見まねで始め、その技術を徐々に自分のものにしていった。「ただ張るだけじゃなくてね、紙の重なり具合とか、一定のほうがきれいでしょ」とランプシェードを愛おしそうに眺めながら語ってくれた。彼女なりの美意識やものづくりの技はこうした作業の中で育くまれていったのだ。
一から十まで手作りでちょうちんをつくる商店は現在、ほとんどない。外国製の安価なちょうちんが出回る中、幅商店が昔ながらの製法を続けているのは、やはり、そうしたものを求めるお客様がいるからだ。「これまで続けてきたから、何とかいろんな仕事がいただけるの」今や、他にないからと、県外からも手づくりのちょうちんを探して来る方もいるほどだ。
早苗のこだわりも、やはりその材料にある。地元に根付く美濃手漉き和紙を使う。ビニールで完全に防水したちょうちんは便利だし安くできるけれど、ぬくもりのある和紙のあかりとは違う。また、使う糊も化学的なものは一切入っていないもの。竹ひごは九州でつくられたものを仕入れる。材料一つで、同じちょうちんでもまったく様子が変わってきてしまう。これまで愛されてきたちょうちんが、
これからも愛されるように、変わらないものづくりを目指していくのだ。